慢性腰痛は、脳も変化する?痛みと脳の関係

最近の医学では「痛みと脳」の関係が注目されています。

「痛み」は、神経が引き起こすのではなく、
「脳」が、感じるものということ。
メカニズムも分かってきています(現段階の)

 

 

たとえば、
坐骨神経痛は、坐骨神経が圧迫して、痛む。
ヘルニアで痺れるのは、神経が圧迫されているから。

というようなことは、
間違った常識ですよ

と、いうことです。

痛みの第一人者であり、
名古屋大学名誉教授、
愛知医科大学教学監の熊澤孝朗先生は、こう言っています。

神経線維は通常、
その末端にある受容器からの信号を伝えるものであって、
その途中が興奮を起こしたりすることはありません。
筋肉が痛みに大きく影響する。

足がしびれた時、思い出してみてください。
神経が圧迫されると、麻痺がおこりますよね?
痛みではありません。

じゃぁ、この痛みは?

それは、脳の記憶とも関係しているんです。
そして、痛めた時から、時間が経過すればするほど、
負のスパイラルに陥って、
治りが遅くなります。
(これには、個人差があります)

2011年に、カナダのアラン・エドワード・ペインセンターの
David A Seminowicz氏らが行った研究では、
腰痛が脳とも密接に関係していることが明らかとなってきました。

慢性的な痛みは、
神経細胞が集まっている灰白質という脳の一部を減少させ、
末梢らの刺激を受けて興奮をおこす中枢神経の変化を引き起こし、
感覚や感情、痛みを抑制する調節性の神経回路を変えてしまう可能性があるということがわかってきたのです。

逆を言えば、慢性痛を治療すると、その変化した脳も元に戻るそうです

改善が見られた脳領域は鎮痛や痛みのコントロール、
また、恐怖感や不安感・うつ感などの
感情的変化や認識的変化とも関係がある部位だそうです。
体の痛みが脳の構造まで変えてしまうということは、
やはり、
心と身体は切り離せないということです。

「腰が痛い」 といって、腰ばかり診ていても、
改善されないのは、このためなんですね。

違うところを触れる必要がある時は、
患者さまにちゃんと説明が必要ですね

そして、患者さまも、
「長く揉んでもらえれば、よくなる」 的な古い常識は、
柔軟に、新しく塗り替えていく準備も必要だと思います。

あ、「痛い」 と、感じることが、悪いことではありませんよ
だって、痛いと感じているのは、間違いじゃないですもんね。

 

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